SCARAB CYCLESにオーダーしていた展示用フレームが届きましたのでご紹介します。
SCARABはコロンビアに工房を構えるハンドメイドスチールバイクメーカーです。2018年の創業とまだ若いメーカーですが、その実力は確かでNHABSやMADEなど世界の名だたるショーにも意欲的に出展しており、世界各地の感度の高いショップで取り扱いが始まっています。
当店ではそんなSCARABのオーナーSantiago(サンティアゴ)とちょっとした縁で親しくなり、日本での取り扱いを始めることになりました。
展示フレームはグラベルモデル"PARAMO"
SCARAB CYCLES PARAMO グラベルフレームセット $3,400USD(約52万円)~ Wolftoothヘッドセット、シートクランプ付
展示用としてオーダーしたのはグラベル用のフレームセットPARAMO(パラモ)です。700×45Cのタイヤクリアランスを備えながらも軽快な走りを見せるグラベルレーサー寄りの設計になっています。とはいえフルオーダーのバイクにおいて1台だけの乗り味の話をしてもあまり意味はないので、その他の工作の質やペイントについて見ていきたいと思います。
溶接は総じてきれいで、タッピングやフェイシングを含めた後処理も丁寧でした。組んでいくうちに特に驚いたのはケーブル内装用に開けられた穴とその通り道の工作精度です。クロモリの油圧ディスクを内装にするとルーティングが色々と大変になりやすいのですが、こちらでは全くそんなことはなく、整備のしやすさまで考えて作られていると感心させられました。
美しいペイントワークは必見
つづいて塗装のお話。たびたび海外メディアで取り上げられているSCARABの特徴の1つに美しいペイントワークがあります。SCARABは"自転車にのせてコロンビアの自然や文化のひとかけらを届ける"と話しており、その言葉通りコロンビアの様々をモチーフにしたペイントパターンがいくつも用意されています。展示車はカフェマスター河合の好みで「Jungla」というペイントパターンを選択しています。名前の通りコロンビアの有名なアマゾンのジャングルをモチーフにした楽しげな塗装はフレームのあちこちに個性豊かな動物たちを見つけることが出来ます。これはかなりクセの強いデザインですが、他にもたくさんのパターンがあり色の組み合わせも自由に相談することができるので楽しみは尽きません。
ペイントには無限のパターンがありますが、ある程度の好みをお伝え頂ければアートディレクターのAlejandro(アレハンドロ)が良い組み合わせを提案してくれます。
驚くほど早い納期も魅力
もう1つ特筆すべき点として納期の早さがあります。これだけの工作と塗装でありながら納期はオーダー開始から「約3ヶ月」!最初その納期を聞いたときは半信半疑でしたが実際にオーダーしたところ約束は守られました。国内のほとんどのビルダーが半年~1年が当たり前になっているのでこの早さは魅力的です。彼らは設計、溶接、塗装、事務担当をそれぞれ別に用意しており、すべてがほぼ同時並行で進行するため非常にやり取りが効率的でした。
続々と増える新モデル
SCARABはコロンビアの伝統と自然や文化を重んじる一方で、最新の技術とトレンドを取り入れることにも貪欲です。前回のMADEではケーブルフル内装対応のロードバイクフレームを発表しており、私たちが展示フレームをオーダーした時にはまだなかったグラベルのフル内装フレームも2024年に入ってからラインナップに加えられています。相当かっこいいので以下の記事もぜひご覧ください。
オーダーに関するご相談はお気軽に
SCARABには様々なモデルやオプションが存在していますが公式サイトが英語表記のみなことやフルオーダーだからこそ書ききれていない情報があり、分からないことが多々出てくるかと思いますので気になることや不明点はお気軽にBackyardスタッフまでご相談ください。ディーラー向けに資料をもらっていますし、それでも分かりにくい点はそれぞれの担当者まで問い合わせて確認いたします。日常的に連絡を取り合っていますのでそれほどお時間は頂きません。また、今回ご紹介したフレームは池田店にほぼ常設しておりますのでぜひご覧ください。
代表のSantiagoから聞いた話によるとコロンビアでは年々サイクリングへの情熱が高まっており、ロードバイクにおいてはワールドツアーを目指すためのスクールが出来たりしているそうです。確かに今活躍しているコロンビア出身の選手だけでもリゴベルト・ウラン、エガン・ベルナル、フェルナンド・ガビリア、エステバン・チャベス、ナイロ・キンタナなど錚々たるメンバーが揃います。また国土の8割が未舗装であることからグラベルバイクやMTBなどはかなり身近なものとして存在しており、オフロードの知見が豊富で製造も得意としているとのことでした。
日本のクロモリフレームとは少しベクトルの違うものづくりにご興味をお持ちの方はぜひご検討ください。