新たにオーダーフレーム"Shin"のお取り扱いを始めました。Shinはビルダー服部晋也氏が愛知県の大口町にかまえる工房"服部製作所"で製造されています。メディアなどでは若手ビルダーと紹介されることも多い氏ですが、すでに単身で10年以上フレーム製作をされ、東海地方のシクロクロスレースで見かけないことが無いほどに多くの実走派に支持されています。
私たちから見て服部氏は多くの工房が存在する日本のビルダーの中でも少し毛色が違っているように思います。
日本の多くのビルダーはケイリンやロードレースなどにルーツを持つ方が多く、溶接方法は伝統的なフィレットブレイジング(ロウ付け)を用いるのが主です。技術と時間を費やして美しく仕上げていく様はまさに職人の業と呼べる仕事です。
一方、服部氏はNAHBSに代表されるアメリカの自由でユニークな1点物のモノづくりに魅せられ、単身渡米してフレームづくりを学んでいます。そもそものルーツが違うんですね。
自転車を高尚な工芸品ではなく気軽に付き合える遊びの道具と捉え、人や乗り方に合わせて自由な発想であらゆるニーズを形にしています。製法においてもアメリカで学んだTIG溶接を主に用いているため、鉄だけでなくアルミやチタンの加工も可能です。そんなTIG溶接について、早く正確にそして安定した品質に出来る優れた製法であると氏は話します。
そんな服部氏と様々なご縁があって、この度お話を伺いに工房へおじゃましてきました。
名古屋市街を離れて北へ。静かな住宅街の一角に工房はあります。
「自分1人では向こう1年かけても解消出来ないくらいのオーダーが積みあがっている」と多忙を極める中、快く時間を作ってくださったことに感謝。今はサポートスタッフを運用して進行はかなり改善しているそうですが、それでも丸2か月休めていないと話されていました。
工房内には相当な種類と数のパイプが在庫されていました。どれだけの台数を日々作られているのでしょうか
TIG溶接は前段階のパイプのカットもとても大切
溶接前に合わせるだけでもこれだけぴったりと精度が出ていました。
きれいに溶接されたフレーム
アルゴンのガス管がいつでも使えるようセットされています
ハンドメイドバイシクルショーでも展示されていたShinのグラベルロードフレーム
オーダーフレームらしい細かい工作が面白いです。
独自に溶接して製作されたフラットマウントの台座もスマート
オーダーの来たものはどんな内容でもほとんど形にしてきたし、大体どんなものでも枠にはまらず作れるのが強みと話す服部氏。私たちも早速、フルオーダーでないと実現しにくい少し変わったフレームをオーダーしてきました。(完成したら展示、試乗車としてご紹介します)
さらに今後はShinらしいと言ってもらえる独自のモノづくりも考えているそう。今回お聞きしただけでも3D CADを用いたオリジナルのエンドの作成や初心者でも手に入れやすい価格のフレームの構想、チタンフレームの製造など様々なアイデアを温めているそうなので今後の展開も楽しみです。
アメリカ仕込みの自由でユーモア溢れる発想と経験に裏付けされたレーサーを満足させる走り、相反しそうな要素を併せ持つビルダー服部晋也氏。そんな彼に自転車を作ってもらいたいという方はお気軽にご相談ください。ロード、グラベル、シクロクロス、MTBからミニベロやコミューターまでどんなジャンルでも高いレベルで形にしてもらえます。