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自由な発想で作るmacchiの新しいクロモリディスクロード(スタッフT'sフレーム)

今回ご紹介するのは私タテグがmacchi cyclesにオーダーをかけていたフレームです。コンセプトは"新しいクロモリロードのかたち”。最先端のカーボンフレームだけでなくクロモリもそれを扱う職人も日々進化しています。伝統的なスタイルの輝きが今なお褪せないことは改めて語るまでもありませんが、最新のクロモリの可能性について思いを馳せている方はどれほどいらっしゃるでしょうか。このフレームはそんなオーダークロモリロードの新しい要素を実際にご覧いただくためにあれこれ盛り込んで作製したものです。

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macchi cycles ディスクロード用フレーム(フルオーダー)

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まずディスクブレーキを採用するにあたって絶対に譲れなかったのはクロモリらしいシルエット。44mmや1 1/2といった太めのヘッドチューブが採用されることの多いディスクロードですが、1 1/8 - 1 1/4の細身のテーパードヘッドを指定しました。オーダーの相談を始めた2年ほど前ではまだまだ珍しかったそうでビルダー植田氏にも「1 1/4では作ったことがないからバランスの取り方はやってみないと分からないし、そもそもパイプが手に入るか分からない」 と言われてしまいました。

私「良い機会ですね、それなら今回探してやってみましょうよ!最低限ここが通らないならオーダーは見送ります。」

我ながら無茶なお願いをしました。ちなみにヘッドパーツ をインテグラルのような内装でなくスタンダードなアヘッドにしているのもヘッドとステムの間にくびれを作りたかったのとヘッドチューブとステムの間にマットなカラーを置いてフレームの光沢を際立たせたかったからです。

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ステムはフレームと同色にしています。これだけで一気に特別感が出る気がしませんか。オーダー時にパーツが決まっていればステムに限らず、ハンドルやシートポストやフェンダー、キャリアなど小物も一緒に塗装することが可能です。トータルコーディネートを考えたうえで作成すると唯一無二のものが出来上がりますのできっと楽しいですよ。

今回のステムは特殊な形状が好きだったOne by ESUのカーボンスージーステムを使用しています。通常のステムよりハンドル位置が下がるため、このステムを使用することを前提にジオメトリの作成をお願いしました。

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ステッカーを塗り分けたり、完全に消してしまうことも出来ますが今回はうっすらシルエットが残るくらいに同色で塗装しています。

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せっかくなら何か面白い要素をと考えていたところ、あのGraphite Designからカーボンパイプが手に入ると聞きました。数少ない日本ブランドだっただけに無くなってしまったときは寂しい思いをしたものです。ここで出会ったのも何かの縁、とカーボンとクロモリのハイブリッドフレームへと舵を切ることに決めました。そして思い至った個人的に1番かっこいいカーボンパイプの入れ方はこのインテグラルシートポスト(ISP)でした。シートチューブとシートポストが一体型になっている今はほぼ廃れてしまった少し不自由なスタイルです。
ちなみにこのISP用カーボンパイプ、ディレイラーがクランプされることや体重がかかることに慎重を期してか、かなり肉厚で頑丈です。パイプの時に単体で持たせてもらいましたが、クロモリと比較してもあまり軽くはなく重量面での恩恵はありません。乗ってみて肉厚なカーボンの振動吸収性の高さに期待したいところです。いいんですよ、かっこいいんだから。
なお、カーボンとのハイブリッドで軽さを狙うならトップチューブやダウンチューブに採用すると大きな効果が得られるそうです。

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次に見て頂きたいのはこの工作。RITCHEYやDixnaからシートトップは市販されているのですが、せっかくだからフレームと統一感のあるものが欲しいとこちらもオーダーメイドで作って頂きました。これもまた無茶をお願いして「イメージがわかない」という植田氏のところへ市販のチタンシートポストを持ち込み分解して見せ、ENVEのパーツをそのまま流用するようなかたちで完成させてもらっています。結果、市販のものより美しく満足度の高いものが出来たとオーダーの贅沢を噛み締めています。無いものはアイデア次第で作ってもらえばいいのです。アイデアをかたちにしてくださる腕のいい職人はいますので。

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ステーは振動吸収性を高めるため曲げを入れてもらいました。とてもセクシーに仕上がっています。

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リアエンドはスマートで形の美しいParagon Machine Worksを選んでいます。高額にはなりますがこのスマートさは何者にも変えがたい。同メーカーからは更に高額なステンレスやチタン製のエンドも用意されています。

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BBは大径ねじ切りのT47を指定しました。メンテナンス性の高いねじ切りで大径化するクランクのシャフトやケーブルの内装化に対応するために生まれたBB規格です。2年前に「この規格は必ず標準化する」と植田氏にお願いしましたが、今では多くのグラベルロードメーカーやTREKやFactor OSTROなど最新のカーボンロードにも採用され始めていますね。これからもさらに拡大しそうだと見ています。

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チェーン ステーも複雑なつぶしや曲げの加工を入れてもらっています。乗り味が硬くなりがちなディスクロード用フレームへの工夫はリムブレーキよりはるかに労力がかかるそう。

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フロントディレイラーをクランプする部分には金属のリングで補強しました。これまたクランプバンドの幅ぎりぎりのサイズです。

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フォークはENVEのロードフォーク

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全体的にシンプルにまとめたカラーリングですが、トップチューブには少し遊びを入れました。カラーの切り替え部分で流れを断ち切らないよう上手く繋げる方法はないだろうか……グラデーション・ストライプ・ギザギザ等いろいろ迷った末にたどり着いたデザインです。

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試行錯誤しながら線1本1本の設定を考えました。途中で投げそうになったのは言うまでもありません。
ちなみに当店ではオーダー時にご希望があればこういった形でイラスト化してデザインやカラーリングを決定するサービスを始めました。詳しくはまた別の記事でご案内致します。

1本だけオレンジを入れたのはちょっとした遊びです。1つは自分のパーソナルカラーが青・白・橙の3色なのでフレームのカラーもそれに合わせたかったから、

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そしてもう1つはいつも自転車に乗る時に連れている相棒のカメラのアイコンが辰砂(シナバー)のリングであることからです。

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完成した今だから話せる笑い話ですが、数字で線を考えたところでまったくイメージが湧かないので実際にはこんなアナログなことをしてデザインを詰めていました。

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左右のラインの切り替え位置は輪ゴムで模索……

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トップチューブより上に出るカーボン部分をできるだけ長く見せたかったので、シート集合部の上側はギリギリのところでカットしてもらいました。一見、何でも無さそうな部分にも植田氏の繊細かつ高いレベルの技術が見られます。溶接がきれいでなければこんなお願いはできません。

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コンポーネントはSRAMの無線変速 eTap専用にしてシフトケーブル受けの台座を無くしています。カーボン部分が際立つよう可能な限り工作は削っています。

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ヘッドチューブはmacchiロゴの「m」を縦にしてアレンジ

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紆余曲折あって完成までずいぶんと時間がかかってしまいましたが、面白くかっこいいフレームが出来上がったと思います。今回ビルダー植田氏には「知らない」「分からない」「やったことがない」ことを全部やってもらいました。お客様から"ビルダーに直接ではなく店を通してオーダーするメリット"について尋ねられることがありますが、今回のような例もその理由の1つになるのではないでしょうか。自転車を0から作る技術はありませんが、業界全体にアンテナを張って新しいもの面白いものを常に探しているので、情報の早さと知識の豊富さでは分があると自負しています。最新のトレンドからニッチなものまで、直接ビルダーと話すだけでは出てこないかもしれない面白いご提案をさせて頂きます。

さて、このフレームをどんな風に組み上げましょうか。肝心の狙ったフレーム特性の話などについては後編に続きます。

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【南船場店】
営業時間:11:00 〜 20:00
TEL:06−7182−2721
e-mail:kandmcycle4@gmail.com
定休日:毎週水曜日

【堺 上野芝店】
営業時間:11:00 〜 20:00
TEL:072-247-9914
e-mail:kandmcycle4@gmail.com
定休日:毎週水曜日

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